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歴女的?星逢一夜の感想(10月3日(土))

 いやー、観終わったあと「七人の侍」が観たくなりました。たぶん、米をめぐる争いに村人が勝つパターンの作品が観たくなったんでしょうね。

 以下、考察というか感想をだらだら…。


藩主の子息・紀之介

 櫓で村の子どもたちと遊ぶ紀之介は、いつもどこかに「他の子とは違う」という要素がなんとなく入ってて、それが好きだった。その塩梅も、溶け込みすぎず浮きすぎずで…。
 最初の子ども時代では望遠鏡を持っていたり、江戸に行く前の櫓シーンでは、1人だけを履いていたり、下駄を履いていたり。
 藩主の子を描くんだから、当たり前っちゃ当たり前の小道具や衣装なんだけど、でも、そういうところを当たり前にちゃんと描いてくれるのが嬉しい!わけで。
 「どんなに村の子と一緒に過ごしても、この子は本当に溶け込むことはできない」っていう切なさが、場面に漂っていて好きでした。

小太刀の演出

 正直、紀之介が泉に小太刀を渡すのを見た時、最初は違和感があって。泉も「刀はお侍の命だっていうから貰えない」っていうけど、曲がりなりにも武士の子が小太刀とはいえ刀を渡すのは有りなのか?と。
 でもね。逆にね。小太刀なら有りかなっていうのと次男坊である紀之介なら有り得るかなって思ったら切なくなって…。
 この後、江戸に上った紀之介は割とあっさり江戸に染まって仕事頑張る人になるんだけど(たぶん尺の関係であっさりに見える)、小太刀を渡しちゃうのが紀之介の無邪気な次男坊らしさで、最後の次男坊スピリットだったのかと思うと…(´;ω;`)

将軍・吉宗

 パンフレットなんかのあらすじには「吉宗の時代」って明記されてるけど、劇中では「とある取り立ての厳しい将軍」って具合に描かれてた。別に架空の将軍だと思ってても問題ないような。
 でも、吉宗だと知っているとそれはそれで面白い部分もたくさんあって。そもそも吉宗といえば、なんたって暴れん坊将軍であり、名君で通っている。実は将軍就任以前にも財政改革で借金完済してるような名君・吉宗になら晴興が「誠心誠意仕えたい」という態度を示すのも分かるし、享保の改革の成功(異論は認めるよ!\(^o^)/)を思うと、吉宗の「お前が星を見る(大極を見る)と言うから取り立てたんだ」という台詞も説得力が増す。あと、なんだかんだこの改革は成功するんだと思うと、村への厳しい取り立てや一揆やりきれなさを感じすぎて胸が潰れる
 それから、ちょっとしたことだけど吉宗=倹約って頭があると、貴姫(ススキ)登場からの天野親子(田舎者)登場で粗末な身なりなのに晴興が気に入られる流れは、かなりスッキリ頭に入ってくるのでは。

江戸コンプレックス
 今回一番どひゃーっとなったのは、「源太のお嫁さんになるんよ!(1回目)」後の回想シーンでめっちゃ盛装の貴姫がどーんと出てくるシーン。私、基本的に最上級身分層のてんこ盛り衣装って大好きなんだけど、この貴姫が打ち掛けに盛りに盛って出てきた時には「視覚への暴力!」って思った。このシーンの前、祭りで着飾った泉が「江戸のおなごに比べたら私なんて…」て言うんだけど、客としては「いやいや泉の方が綺麗だよ!」なんて思うんだけど。でもね、高価なギラギラの簪と打掛の貴姫がバーンて出てきた途端、ああ、もうこの権力には逆らえないんだっていう圧力が半端ない。こういう視覚に訴えてくるシーン本当好き。

2回の土下座

 観劇前、「源太が2回土下座する」と聞いた時は「まじかよ…」って思って、同時に「いやいや文脈に寄るか」とも思ったんだけど、やっぱり本編見たら文脈的に自然な土下座で嫌悪感とか一切なかったです。

・1回目…貴姫との縁談断って泉(百姓)を娶ってくれ!という無茶な土下座(政治のことなんも分かってなくてアホっぽい印象)
・2回目…自分の要求は無理と思いながらも最後の望みをかけた土下座。(村や家族のことをしっかり考え抜いた印象)

…って感じで、1回目と2回目の土下座の比較で源太の成長が感じられて、むしろ好きな土下座でした(´`*)


悪役の不在
 ウエクミ先生の作風なんだろうけど、月雲も星逢も悪役が居ない。全員の行動に、ちゃんと共感できるだけの理由があって誰も憎めないから、見てるとジワジワ首を締められる思いをする。それが、日本物に妙に合ってるなーって。
 これ今、大河ドラマとかが同じ話作ったら「泉は村を飛び出て藩主(晴興父)に晴興との婚姻を直訴しにいく」とかそういう荒唐無稽な話にもなりかねないと思うんですよ。その辺、星逢はやっぱり上品で宝塚らしい作品だなぁと私は思いましたよ!
 あと、現代社会に生きる私たちには、「型破りな女が暴れる話」よりも「置かれた場所で、運命を受け入れてどう生きていくか」っていう話の方が現実的ですよね…。勧善懲悪も好きだけどさ…。



まぁ、そんなこんなで星逢とっても楽しかった!
楽しすぎてしんみりするのを忘れるぐらい楽しかったです。
2回目以降の方が泣けるって言ってる人が多いのがよく分かりました。
Blu-ray買わなきゃなぁ…。